法人税率と所得税率の比較
法人の決算や、個人の確定申告において、税金の負担が重いと感じている方が多いかと思いますが、今回は、実際の税負担額や税率がどれくらいなのかを見ていきたいと思います。

まずは、法人税です。法人税には、国税である「法人税」「地方法人税」と、地方税である「法人道府県民税」「法人市町村民税」があります。国税・地方税合わせた法人税等は、利益の額によって税率が段階的に上がります。(下図参照)
利益 | 法人税等 | 負担率 |
1,000,000 | 261,100 | 26.1% |
5,000,000 | 1,051,800 | 21.0% |
10,000,000 | 2,339,500 | 23.4% |
20,000,000 | 5,523,600 | 27.6% |
30,000,000 | 8,707,700 | 29.0% |
50,000,000 | 15,564,400 | 31.1% |
100,000,000 | 34,206,200 | 34.2% |
概ね20%から始まり、利益額が数千万まで上がっていくと、30%を超え、最終的には35%近くになります。
なお、利益が100万の時の負担率が26.1%と高くなっているのは、利益額に関わらずかかってくる7万円の均等割り額があるからです。
ここで問題となってくるのは、法人税等は、基本的には支払っても「経費」として扱えないところです。そのため、少しでも税負担を下げたい、税率を下げたいと考えた場合に、経費を増やして、利益を下げることを考えるわけです。
例えば、「今期は利益が出そうだから、役員報酬を上げよう」と社長が考えた場合、法人としては、経費(役員報酬)が増えるため利益は減り、法人税の負担が減ります。
一方で、社長個人の側面から考えた場合には、役員報酬が上がることで「所得」が上がり、今度は「所得税」や「住民税」などの負担が増えてくるのです。
以下の表をご覧ください。(なお、所得は収入から必要経費や所得控除額を引いた金額で計算しています。年収とは異なりますのでご注意ください。)
所得 | 所得税 | 負担率 | 住民税 | 負担率 |
1,000,000 | 50,000 | 5.0% | 102,500 | 10.3% |
2,000,000 | 102,500 | 5.1% | 202,500 | 10.1% |
3,000,000 | 202,500 | 6.8% | 302,500 | 10.1% |
4,000,000 | 372,500 | 9.3% | 402,500 | 10.1% |
7,000,000 | 974,000 | 13.9% | 702,500 | 10.0% |
10,000,000 | 1,764,000 | 17.6% | 1,002,500 | 10.0% |
20,000,000 | 5,204,000 | 26.0% | 2,002,500 | 10.0% |
30,000,000 | 9,204,000 | 30.7% | 3,005,000 | 10.0% |
50,000,000 | 17,704,000 | 35.4% | 5,005,000 | 10.0% |
100,000,000 | 40,204,000 | 40.2% | 10,005,000 | 10.0% |
所得税は、5%から始まって、所得が1千万を超えるあたりから20%を超え、最終的には40%まで到達します。これは、所得が上がれば上がるほど所得税が上がる「累進課税」の仕組みになっているからです。一方で住民税は、所得の金額に関わらず、基本は一律10%です。(実は、所得が400万ほどまでは、所得税より住民税の負担率の方が高くなります。)
このように、法人と個人(法人の社長)の側面で見た場合には、
法人の経費(役員報酬)を増やせば、
個人(社長)の税負担が増えるという相反する関係となっています。

法人は決算時にまとめて法人税等を納付する関係か、税負担が高く感じやすいですが、法人と個人のそれぞれがどれくらいの税負担率にあるかを意識しつつ、実際に税負担額を基に役員報酬や経費の配分を決めていくことが大切です。